八千代市の往診専門ルル動物病院では腫瘍性疾患の補助療法としての鍼灸治療を実施しています

2025/07/04 ブログ

前立腺腫瘍と向き合うわんちゃんに、鍼灸治療でできること

今回は、前立腺腫瘍という病気と闘っているわんちゃんに、私たちが行った鍼灸治療の様子をご紹介します。

前立腺腫瘍は高齢の男の子のわんちゃんにみられる病気で、排尿のトラブル(おしっこが出づらい、頻繁に行きたがるなど)や、腰やお腹の不快感が出ることがあります。抗がん剤や手術による治療が難しいこともあり、「いかに快適に日々を過ごせるか」がとても大切になってきます。

このわんちゃんも、痛みや排尿障害を和らげるためにお薬による治療を続けていましたが、長期の使用により腎臓の数値が少しずつ上がってきたため、身体への負担をできるだけ抑える方法として、鍼灸治療を補助的に取り入れることになりました。

また、免疫力の維持と全身のバランスを整える目的で、サプリメント「アニミューン」も併用しています。薬に頼りすぎず、わんちゃん自身の持つ力を引き出すことを大切にしています。

鍼灸って、どんなことをするの?

鍼灸は、細い鍼やお灸を使って、体のツボ(経穴)を刺激し、体の調子を整える東洋医学の治療法です。痛みや不快感を和らげたり、内臓の働きをサポートしたりする効果が期待できます。

今回のわんちゃんには、以下のような目的でツボを選びました。

おしっこを出しやすくするためのツボ
腰やお腹の不快感を和らげるツボ
血の巡りをよくして体を温めるツボ
全身の免疫や体力を支えるツボ

鍼灸治療の鍼はとても細く痛みはほとんどないため、多くのわんちゃんは気にすることなく治療を受けてくれます。今回の子も、最初は少し緊張していましたが、途中からはリラックスして目を閉じていました。

飼い主さんと一緒に、今できるケアを

この治療で腫瘍そのものを消すことはできませんが、「痛みを和らげ穏やかに過ごす」「おしっこが少し出やすくなる」といったサポートをしています。

病気の進行を止めることが難しい場合でも、わんちゃんが「今」をなるべく快適に過ごせるように、お手伝いができればと当院は考えています。

鍼灸治療は、西洋医学と併用しながら、その子のペースに合わせて無理なく続けることができます。今回のように、お薬の副作用や身体への影響を考慮しながら、鍼灸やサプリメント(アニミューン)を補助的に活用することで、より優しいケアにつなげることができます

興味のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

まとめ

前立腺腫瘍は、排尿や痛みなどの不快症状を伴いやすい病気です。
鍼灸やサプリメントは、痛みや不快感を和らげ、生活の質(QOL)をサポートするための選択肢のひとつです。
「できることを、できる形で」飼い主さまと一緒に考えていきます。

どうぞ、わんちゃんもご家族も、心穏やかに過ごせる日々が続きますように。

 

獣医師の齋藤でした。